株式会社丸信

三方よし通信

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【印刷コラム】一般の人が知らない印刷業界の常識

ある日、丸信の広報より「近日中に当社へテレビ局が取材に来るので、一般の人が知らない印刷業界の常識のクイズを探しています」との話がありました。ちょうど1カ月前に、広報の新人さんの工場見学を案内していたので、「あの時、工場見学をして、何の情報に一番驚いた?」と逆質問しました。

以前、このようなことがありました。営業さんは、お客様から預かったPANTONEという色見本の赤色を指示されていました。工場はその色に合わせて印刷したのですが、後日「赤の色が弱いです」との評価。色は、部屋の明度、光源の違いによっても違いが出ます。工場で色が合っていてもお客様では違って見えることは良くあることです。

そこで、赤を少し強めにして再提出。すると「まだ赤がかなり弱いです」との回答です。濃くしたつもりでしたが、かなり赤を強くした方が良いということです。3度目は正直、少しやりすぎたかなと思うぐらい赤くして再々提出しました。すると「まだ赤が弱いです」とのこと。そして4度目、お客様の品質担当の方が東京から印刷立ち合いに見えられることになりました。

当日、1回目~ 3回目まで見せて「当社の光源だと1回目が一番近く見えるんです」と話したところ驚きのことが起こりました。申し訳なさげに「1回目の分チップの色、本当にばっちり合っているのですがPANTONEのチップの赤が弱い気がする」と言われて出された色チップは同じ番号ですが、物凄く赤い色でした。それですべての謎が解けました。種明かしをすると、営業がお預かりしたPANTONEはお客様の福岡の事業所にあったもの。品管の方が持ってこられたのは東京の品質保証部にあるチップでそれぞれの色が違ったんです。正しい色が判ればこっちのものです。すぐに調整して喜んで帰って頂くことが出来ました。

色見本は見本なので同じ番号なら同じ色と思ってある方は多いと思います。基本はそうあるべきなのですが色見本も印刷物である以上劣化もあれば、ロットによる色の変化も見られます。その為に、DIC という色見本ならロット番号である第何版かを必ず確認する必要があります(DICはロット版№ が付いています)。PANTONEならばお客様のチップを借りてくるか、「丸信にあるPANTONEで合わせますが、見本帳の色のズレは許容になります」のご説明を必ず差し上げるルールがあります。もし、弊社の営業がチップをお願いした場合はご協力お願いいたします。