株式会社丸信

三方よし通信

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【社長コラム】エシカル、儲かる?

先月の日経ビジネス誌に「もうかるエシカル」という特集がありました。「エシカル消費」とは環境や人権の保護など、倫理的に良いものにお金を出すというもの。これまでの品質と価格という選択基準に加え、外資や大手企業は基準にエシカルかどうかを加えるようになってきました。

弊社がお客様に推奨させて頂いているFSC認証紙でのラベルや紙器などはそれにあたると思います。消費者が積極的に選んでいるかは不明ですが、少なくとも、発注企業様からは多くの引き合いを頂いており、FSC未対応の印刷会社さんよりは受注を多く頂いていると思います。

これは食品の世界にも普及してきています。例えば卵。欧米では大手企業を中心に「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の観点から「平飼い方式」で飼育されている鶏の卵を採用する動きが出てきているようです。大量に消費する米スターバックスやマクドナルドでさえ、動物愛護系アクティビストからの圧力で、米国では狭いおりにニワトリを閉じ込めない「ケージフリー」の卵へ100% シフトする予定だそうです。

いずれ日本市場にもこの波は押し寄せるものと思われます。日本の人口一人当たりの鶏卵消費量は333個で米国の1.2倍。養鶏場の皆様は効率的な飼育方法によって、この「卵消費大国」を支えてこられました。飼料価格の高騰により卵の原価が高止まりしている中で新たな、しかも生産性を落とす方向での設備投資は容易ではありません。業界全体が変わるのは大変なことだと思います。

また、平飼いによってさらにコストアップする卵を消費者が果たして本当に店頭で選ぶのかもポイントだと思います。エシカルな商品やサービスを提供するには当然、これまで以上のコストがかかる。その価値を消費者が認めれば、コスト以上の利益を生むことも可能になる。少ない量なら買ってくれる先はあるかもしれませんが、「アニマルウェルフェア( 動物福祉)」の認識が一般消費者に希薄な日本ではもう少し時を待たねばならないのではと思った次第です。

しかし、現在中高生へのSDGs教育はとても盛んであり、いずれ日本の消費者も成熟し意識が高まるのではないか、そうなればエシカル消費により逆選別されることにもなりかねません。無理せず、FSC認証の紙を使うなど、できることから始めながらアンテナを張っておくことも重要ではないでしょうか。