三方よし通信
三方よし通信
改正公益通報者保護法は大企業だけのものじゃない
平素、大変お世話になっております。先月の弊社展示会には多数ご来場頂き、心より感謝申し上げます。
さて先日の弊社経営会議にて、総務より改正公益通報者保護法について説明がありました。より体制を強化し、社内外に周知徹底を行っていくとの報告でした。
友人の経営者などとお話ししていると、「うちは社員50人ほどのアットホームな会社だから、内部通報の窓口なんてまだ早いよ」「300人以下の中小企業は努力義務でしょう?」といったお声をよく耳にします。
確かに、法律上で「通報窓口の設置」などが義務付けられているのは従業員301人以上の企業です。ですが、2026年(令和8年)12月1日に施行される「改正公益通報者保護法」のポイントを紐解くと、「努力義務だから何もしなくていい」と後回しにすることが、どれほど大きな経営リスクをはらんでいるかが分かってきます。
2026年12月の法改正とはどのようなものなのか?
体制整備は努力義務でも、「罰則や禁止ルール」は全企業が対象
今回の法改正で最も注意したいのは、企業規模に関わらず「すべての企業」に新しいルールと厳しい罰則が全面適用される点です。
- 解雇・懲戒処分に対する「刑事罰」の新設
通報したことを理由に解雇や懲戒処分を行った場合、民事上の無効だけでなく、新たに刑事罰が科されることになります。 - 「1年以内の処分」に対する推定規定(企業の立証責任)
通報した日から1年以内に行われた解雇や懲戒処分は、原則として「通報を理由としたもの」と推定されます。企業側が「著しい勤務不良など客観的な理由」を証拠とともに証明できなければ、違法と判断されてしまいます。 - 「犯人探し(探索行為)」と通報妨害の禁止
「誰が通報したのか」を特定しようとする探索行為や、「通報したら処分する」と告げるような口止め(通報妨害)が明確に禁止されます。社内に窓口がないからといって、社員からの訴えを放置したり「誰が言ったんだ」と探ったりすれば、即座に法的なリスクを負う時代になります。
「フリーランス」も保護対象に
これまでの保護対象は従業員や役員、退職後1年以内の元社員が中心でしたが、今回の改正により「フリーランス(業務委託先)」や「業務委託が終了して1年以内のフリーランス」も明確に保護対象へ追加されました。
現場で共に働く外部パートナーからハラスメントや不正の相談があった際、「取引を打ち切る」「報酬を減額する」といった対応をとることは重大な法令違反となります。
窓口がないことで起きる「本当の怖さ」
社内に安全に相談できる窓口がない場合、困った社員やフリーランスの方はどこへ向かうでしょうか。
会社に言えないSOSは、SNSや労働基準監督署、マスコミといった「外部」へ直接流出するリスクを伴います。一度SNS等で炎上してしまうと、経営陣が気づいたときには手遅れとなり、長年築いてきた会社の信用が一瞬で崩れてしまうことだってあるのです。
さらに、近年は大企業(元請け)から「御社には通報窓口や保護規程がありますか?」と問われるケースが増えているようです。体制の有無が、今後の取引継続や新規受注の選定基準になりつつあるのかもしれません。
「そうは言っても、専用の部署を作る余裕なんてない……」と思われるかもしれません。大企業のような大掛かりな仕組みを作る必要はないようです。
- 外部窓口(代行サービスや弁護士)を活用する
社内窓口は「上層部に筒抜けになるのでは」と警戒されがちです。外部の代行サービスなら、低コストで匿名性と安全性を確実に確保できます。
- 誓約書・社内規程の見直し
「犯人探しをしない」「通報者を絶対に不利益に扱わない」というルールを就業規則等に明記し、社内外へ周知します。
- 我々経営者が「耳の痛い声」を歓迎する
万が一相談が入ったとき、犯人探しをするのではなく「小さなトラブルのうちに教えてくれた」と捉え、改善に向き合う姿勢を示すことが重要になりそうです。
内部通報の仕組みは、決して誰かを監視したり不祥事を暴いたりするためのものではありません。会社の中に発生した「小さなボヤ」を初期段階で見つけ、みんなで消し止めるための「大切な防火壁」です。
2026年12月の法改正をきっかけに、法律にネガティブな気持ちで対応するよりも、会社を守る為に積極的な対応をしようと思った次第です。
株式会社 丸信
代表取締役 平木洋二
