株式会社丸信

三方よし通信

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印刷会社のカーボンゼロ達成は難しい!?それでも丸信が本社事業所で達成できた理由

日本は「カーボンニュートラル2050」宣言の中で、二酸化炭素(CO2)を含む温室効果ガスの発生を2030年度までに2013年度と比較して46%削減し、2050年までにはゼロにすることを目指しています。製造業界では製造工程において大量のエネルギーを使用するため他業界と比較してもCO2排出量が多い業界。そのため、CO2排出量を実質ゼロとするカーボンゼロ(カーボンニュートラル)を達成している企業も少数派です。ここでは当社の事業領域である印刷業界の脱炭素の現状や、当社がカーボンゼロを達成できた経緯について解説します。

印刷業界の最大手と言えば凸版印刷と大日本印刷。いずれもグループ売り上げが1兆円を超える日本を代表する印刷会社です。凸版印刷は2030年度の環境目標として、Scope1および2の範囲で、温室効果ガス排出量を2017年度比32.5%削減することを目標に掲げています。一方、大日本印刷も2030年度目標をScope1および2の範囲で2015年度比40%削減と設定。そして両社ともに2050年度には実質ゼロとなることを目標としています。

売上規模からしても最大手企業は膨大なエネルギーを利用していることが伺えるため、企業努力によるCO2削減や再生可能エネルギーの活用だけでは削減量に限界があり、またJ-クレジットを活用してカーボンオフセットするにはクレジットの枠や費用の問題が大きくのしかかるため、カーボンゼロ達成は容易ではありません。

一方、中小の印刷会社にとっては別の観点から達成が難しいのが現状。人口減少にともない印刷業界自体が斜陽産業と言われる中で中小の印刷会社の淘汰が始まっています。大手ほどの投資額は必要なくとも、カーボンゼロ達成に必要な再エネ活用やJ-クレジット購入など、売上に直結しないコストを捻出できる中小印刷会社は極めて少ないのが現状です。

このように多くの印刷会社がカーボンゼロの達成が難しい状況にありますが、理由としては主に以下の4つが考えられます。

1.電力会社の再エネ供給枠に限りがある

2.再エネが活用できても電気代が割高

3.再エネ100%にしないとJ-クレジット費用が膨大になる

4.カーボンゼロ達成しても費用対効果が不透明

膨大なエネルギーを使用する大手印刷会社は1や3が、中小規模の印刷会社は2および3あたりが障壁となっているようです。そして4の費用対効果についてはどの会社も算定が難しいと言えます。

その中でも、カーボンゼロを達成している印刷会社も少ないですが数社存在します。関東2社と関西1社はいずれも売上数十億円規模の印刷会社で主に商業印刷を手掛けています。そしてもう1社が、シールラベル・パッケージ印刷加工を手掛ける当社(丸信)です。

丸信では、20218月に本社事業所のScope1および2の範囲でカーボンゼロを達成しました。本社で使用するエネルギーの大半を占める電力を、再生可能エネルギープランに契約変更することで使用電力が全てCO2ゼロに。実はこの再エネ供給を受けられたことがカーボンゼロの大きなポイント。当社が使用する電力分の再エネ枠を確保できたというわけです。どうしても削減することができないガソリン(軽油含む)と重油・ガスから排出されるCO2については、久留米市田主丸財産区の「かっぱの森J-クレジット」を購入することで相殺(カーボンオフセット)し、本社事業所においてはCO2排出量が実質ゼロとなりました。

■丸信の本社事業所におけるCO2排出量

https://www.maru-sin.co.jp/csr/carbonzero/

本社事業所でカーボンゼロを達成したことにともない、202110月から独自の「CO2ゼロ印刷マーク(カーボンゼロマーク)」を策定し、運用を開始しました。本社事業社内にある印刷工場で製造するシール・ラベル、パッケージ、その他印刷物については無条件でカーボンゼロマークを表示することができ、お客様はカーボンゼロマークを表示した商品を通じて環境PRを行うことができるようになりました。

現状、シール・ラベル、パッケージの製造を手掛ける企業がカーボンゼロを達成した例は極めて珍しいため、商品パッケージ等を通じて脱炭素や環境訴求を図りたい企業にとっては心強いパートナーと言えます。

カーボンゼロマークや環境資材に関しては担当営業へお問い合わせください。