三方よし通信

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【社長コラム】酒場の愚痴を提案に

弊社は2月決算の為、今月より新しい期(第58期)に入りました。連続での減益となるようです。
新工場への大型投資や人件費増、それに電気代の急増をカバーすることはできませんでした。今期も賃上げは不可避のようで・・・。が、頑張ります。

さて、弊社ではこの時期に全従業員を対象に直接申告書の提出をお願いしています。
会社に対して何でも物申して良い制度で、年2回実施しています。職場の不満、上司の不満、改善提案、異動についての希望など、率直な意見が500通以上集まります。何を書いてもノーペナルティになっています。
この仕組み、批判されることに慣れていない私にとりましては、苦痛でしかありません。しかし、この制度により、皆さんの意見を取り入れ、会社の仕組みやルールを少しづつ変えてきました。当初は「書いても何も変わらない」と発信する方がおられましたが、今では誰もおられません。もう社内の誰もが知っています。自分でも会社を変えられることを。敬愛する、宅急便の生みの親、ヤマト運輸元会長の故小倉昌男さんの著書『「なんでだろう」から仕事が始まる!』PHP研究所
の中にこんな一節があります。

(引用 始まり 全文でなく一部抜粋・要約)

「酒場の愚痴を提案に」

どんなに恵まれた環境が用意されていても、人間が集まってやっている以上、仕事の現場には必ず何かしら不満のタネがあるものだ。
不満がないということは、何かを改善して向上する余地がないということだ。
上司の悪口をはじめとする酒場の愚痴というのは愛社精神の裏返しだ。
その裏側には、会社の業務や自分の仕事に対するきわめて前向きな気持ちが隠れているのである。
酒場の愚痴から建設的な意見を汲み上げて、ひとつの「提案」に昇華させる工夫が大事だろう。そのためには、愚痴を酒場という裏舞台から表にひっぱり出し、オフィシャルなコミュニケーション・ルートに乗せることだ。
不満を酒場ではなくオフィシャルな場で言わせることだ。困っていること、効率が悪いと感じること、意欲をそがれることなどを本音で言える表舞台があれば、単なる愚痴が現状を変えよういう前向きな姿勢を持った「提案」になる。
自分が単に命じられた通りに現場で鉄砲を撃っている兵隊でなく、参謀本部の立てる作戦計画に影響を与えられる、つまり「参画」できる立場だと思えれば悪循環は断ち切ることができるだろう。
状況を自分で変えられ可能性があるからだ。
(引用 終わり)

もう10年以上続けているこの直接申告書ですが、徐々に読む際の苦痛が和らいできているのを実感しています。様々なハラスメントの抑止力としては強力に機能していますし、経営として妥協できる点から皆さんの要望を取り入れ、制度やルールを変えてきました。貢献度の低い方ほど、給料増やせとか休みを増やせという低次元のご要望が多い傾向があり、貢献度の高い方程、前向きな提案をくれます。そして残念ながら会社の施策で最も社員さんの心を捉えているのは福利厚生のようです。
弊社も離職率は高止まりしたままで、大きな改善は見られていませんが、さらに努力を続けて行きたいと思います。